羽毛ふとんで、生地にゴアテックス・メンブレンという素材を貼り付けた、ゴアテックスラミネートという生地がしばしば使われているのを見る。メーカー曰く、ホコリは通さず湿気を通すので、アレルギーに良いのだということだそうである。

最近はネット販売でも良く使われるようになっている。本当のことなら、素晴らしいことなのだが、本当にそうなのか?

実は昨年末試作品とおぼしきゴアテックスラミネートがされたシルクサテンの生地を手に入れて、羽毛ふとんを作ってみた。生地重量が82g/屬阿蕕ぁ並ってざっと計算してみた)だからかなり軽い。

理屈上でいえば

1.シルクは吸湿発散性にすぐれ、肌にやさしい繊維である

2.ゴアテックスは透湿性にすぐれている羽毛ふとんに理想的な素材である。

3.生地が軽いと空気を多く含むために、羽毛の良さを最大に活かす

この側に嵩高18.5cmという最高レベルのシベリアンホワイトグースを入れてみて、うちのスタッフが使ってみた。彼はけっこう汗かきなので実験には最適である。

結果は「蒸れて蒸れてしょうがありません」

何故そうなるのか、ネットを探していたら羽毛ふとんではないがレインウェアでの実験のページがあったのでかなり参考になった。

要はJISなどで計測された数値と、実際の使用感は異なるということである。

確かに吸湿性試験なんかでも、JIS-L1915では12時間以上見るということになっている。一度大東紡が羊毛の吸湿試験結果を持ってきたことがある。E-WOOL(ウールの表面のスケールを薬品処理で取ってしまい防縮加工したもの)は未加工のウールに比べて吸湿性が優れているというデータなのだが、たしかに8時間後の吸湿性は勝っている。しかし、30〜60分後の吸湿性能は未加工のウールの半分ほどしかない。

実際には入眠後のこの時間にもっとも多く汗を発散するし、汗の発散は次第に少なくなっていくので、実際に使うと未加工のウールの方が気持ちが良いということになる。

同様に、ゴアテックスが多孔質で湿気を通すといっても、外と内の温度差や湿度差などの条件によって、快適な状態を保てるような透湿性(素早い水分移動特性)を持ってているのかというと疑問になってくる。理屈はともあれ、実際に使ってみると通常の羽毛生地より蒸し暑く感じられているのだから。

もちろん、これだけを持ってゴアテックス・ラミネートがダメと烙印を押すまでには行かないが、実際の使用感では通気度が2.8〜3.2ccぐらいの通気性の良い綿バティストの生地の方が格段に湿気のこもりが少なく、気持良く使える。

先日来られたあるメーカーさんが「私のところでは、これがベストとしておすすめしています」と等のゴアテックス・ラミネートの生地を使った羽毛ふとんをPRされていたのだが、「実際に使ったことあります?」と聞くと使ったことがないそうである。

どうも寝具業界はこの手の錯誤が多い。1次素材メーカーの説明を鵜呑みにして製品化をしてしまうのだ。信じられないかもしれないが、実際に使用する状態でのテストを行っていないことが多くあるので困ったものだ。