Natural Sleep 自然な眠りの部屋 〜 快眠日記

快適睡眠を考え、その実現のための寝具を提案しサポートするショップです。 良質な天然素材を使い、ヒトが本来持っている自然な眠りを実現をめざして、オリジナル寝具の開発や睡眠の研究に取組んでいる「眠りのプロショップSawada」の店主の取り組みや最新情報を紹介します。 手作りでお届けするオーダー羽毛ふとん、オーダー枕、マットレスやベッドなど、快適で安全に眠るための商品情報も提供しています。

問題

羽毛布団のリフォームと丸洗いについての注意点

羽毛工房全景ワイド

羽毛布団のメンテナンスには、リフォームと丸洗いの2種類がある。
一般的には3〜5年に一度丸洗いを行い、10〜12年に一度リフォームを行っていただくのがベスト。全く洗わないと汚れがこびりついて落ちなくなるので、定期的な丸洗いは必要だ。

ところが、この丸洗い。長年の使用で中の羽毛が壊れてできた羽毛のゴミを取り除けるわけではない。
それと、表生地にはダウンプルーフという吹き止め加工がしているので、実際に自分で洗うとわかるが、水の浸透が悪く、側生地の汚れはともかく、中の羽毛については十分に洗えるのかというと、ちょっと難しい。それでも、洗わないよりは、ずいぶんマシなのだが・・・。

さて、羽毛布団のリフォームの場合は、ちゃんと洗えるのかというと必ずしもそうではない。
ホームページにも述べているが、幾通りかの方法がある。

まず論外なのは、スチーム洗浄というやつで、スチームだけで洗ったことにするらしい。某テレビ通販で行われているのがこれだが、気休めでしかない。

羽毛工房
これは1988年に導入した、最初のリフレッシュマシンなのだけど、これがスチーム洗浄だった。昔のお客様には大変申し訳ないのだけど、正直汚れ落としっていうほどのものはない。スチームを噴霧jしてゴミ取りをするだけだから。

それで、途中から最初の羽毛布団をお預りした段階で丸洗いをして、それからスチームをするようにしたら、かなりましになった。

この羽毛布団の状態で丸洗いして、ゴミ取りをするリフォームも多い。
一般的に量をこなすタイプはこれがほとんどだ。というのも、何枚かまとめて丸洗いすることができるので、効率的なのである。

ところが・・・上記で述べたように、これではきれいに洗うことはできない。羽毛の側は水の浸透が悪く、当然羽毛の隅々まで水流が行き届くなんてあり得ないからだ。

一番しっかりきれいになるのが、プレミアムダウンウォッシュと呼ばれる、私どもが行っている方法だ。
ドイツLORCH社の洗浄機で羽毛を直洗いするから、羽毛の汚れの取れ方が全く違う。
自社で全て行うので、一般的な工場で行う羽毛リフォームの工程より1.5倍以上の時間を掛けて、ホコリやゴミを可能な限り取り除くようにしているのである。

10年、あるいはそれ以上に一度のリフォーム−仕立て直しであるから、できるだけちゃんとした仕立て直しをおすすめしたい。

特に最近こだわっているのは生地。
基本的に国産仕上げ生地(もしくはヨーロッパ直輸入)+国内縫製にしている。
多くのリフォームは側生地が中国製だが、現地の状況を聞くと、環境負荷面で問題がかなりあるようだ。
もちろん、全てではないだろうが、実際に確認がとれないため中国プリント生地は扱いを中止した。

ついでに、通気性の悪いポリエステル混生地は使わない
リフォームされる羽毛布団のほとんどが綿100%である。せっかくお金を掛けて、使い心地を落とすことはできないからである。
reform_process1















朝までクールジェル事件の示唆するもの

「朝までクール」といいながら実際には30分程度しか冷たくない、として国民生活センターが発表した事件は、寝具業界には激震が走りました。なんせ、夏の目玉が少ない業界ですから、業界こぞってこのタイプの寝具に夏の商戦をかけていたところがあります。

「これを使う時はエアコンを26℃ぐらいに入れて使ってくださいね。そうしないと涼しくありませんよ」と説明して売っていたお店があったそうですが、26℃でエアコン入れるのなら最初から必要ないですよね。どこかに無理している、と判っていながら、全国的に売れている、はやっているということで販売していたところも多いんじゃないでしょうか?。

何故こんなことになってしまったのか?反省しなければ、また同じようなことが起こる可能性は非常に大です。
その理由の第1は
十分なテストをせずに出荷してしまう
ことにあります。こんなことは寝具業界ではしょっちゅうです。

社員全員に配って1ヶ月間テストを行えば、欠点は十分に把握できたはずです。ところが、それをせずに物理特性だけ(この場合は冷えるということ)を信じて販売に踏み切ってしまうわけですね。

今回の特徴はさらに
睡眠科学を無視した
という、唖然とする現状があります。

確かに、ヒトは入眠すると深部体温を下げます。そのために入眠前には熱を放出するために、手足耳など抹消血管をラジエーターとして使います。その意味からいえば、体を冷やす行為は決して間違いではありませんが・・・
快適な寝床内は温度33℃湿度50%であるということです。この数字については一部で異論もあるようですが、寝具の温度が皮膚表面温度に平衡することは間違いなく、この時湿度が高いと不快指数が上がる。即ち、快適な寝具の条件は適切な湿度調整であることには広く知られています。
ですから、汗を放出する皮膚表面の近くに、透湿性・吸湿性のない素材を使うことは、即蒸れにつながることは容易に類推できることです。それをシーツ1枚使ってくださいではあまりです。

一昨年販売した時も、私の店では「上に吸収力の強い敷きパッド、もしくは厚手のタオルケットを使ってください。」とご説明いたしましたが、この製品単独での温湿度コントロールに難があるとして、昨年は取り扱いを中止した経緯があります。

同じようなことは、マニフレックスや低反発マットレスの説明にもあって「ウレタンフォームがオープンセルなので通気性が抜群」と謳ったにもかかわらず、実際は湿気がこもってカビが生えたり、マットレス面で蒸れが生じたりすることはざらでした。 素材屋の言うことを額面どおり信じたらいけないのですけど、どうも体質的に多いですね。

他山の石とすべき事件でありました。

P.S. なんかここ数日、ネットで本麻敷パッドのご注文が増えているのですけど、この事件のせいかな?
livedoor プロフィール

ねむりはかせ

創業120年を迎える老舗のふとん屋の四代目
今までの「売れれば良いふとん屋」を脱却し、快適な眠りはどうあるべきか、そのための寝具はどのようにしたらいいかを日夜研究しています。
そのために、全国世界を訪ね歩き、試行錯誤の中からオリジナルの寝具を生み出してきました。

プロフィール画像はキャラクターデザイナー井上・ヒサトさんの作品 なまけもののネムタをご厚意で使わせていただきました。

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