本日枕を見にお越しいただいたお客様とお話していると、マットレスの上にベッドパッドを載せずに即シーツで使っていらっしゃるとのこと。こういう方は結構多い。
もっとも、昨今市場に出回っている有名どころのマットレスでも、即シーツで寝てくださいという説明だから致し方ないかもしれない。

「ベッドパッドが要りますよ」というと、スーパーで売っているような汗取りパッドでいいんでしょ、という方も少なくない。残念ながら、汗とりパッドといっても、中綿はほとんどが吸湿性のないポリエステルだから、一晩200〜400ccの発汗をコントロールすることはできない。

しかも入眠後30〜45分、最初の深いノンレム睡眠の際に最も発汗が多い。概ねノンレム睡眠の深さに比例して汗をかくといってもいいかもしれない。

正しい眠りのリズム

快適な睡眠環境は温度33℃湿度50%だから、特に睡眠の初期段階で、汗を素早く吸って発散するメカニズムが必要だ。その意味で布団としての機能をもったベッドパッドが必要なのである。

ブレスエアーやエアウィーヴなどの、中に空気を多く含む素材は理屈上は無くても良いのだが、実際にはちゃんとしたベッドパッドを使った方が快適に眠れる。

ベッドパッドのおすすめは、ドイツ・ビラベック社のウールパッドがピカイチ。説明すると長くなるが、最も自然に近い状態の良質なウールに、通気性が抜群のトリコットニットの生地を使っているので、ほとんど蒸れがない。湿気を良く調節してくれるので、ドイツではロイマリンド(リューマチに効く)ウールと呼ばれる。どうのこうのと薀蓄を語るより、実際に使ってみるとその気持ちよさがはっきりと実感できる。

この最終兵器ともいえるビラベックの羊毛敷布団やパッドの片面に、リトアニア・シウラス社で織ったリネン麻の生地を用いた私の店だけのスペシャルバージョンを用意している。ヨーロッパに比べ、暑く湿度の高い日本では熱のこもりがでるケースがあって、夏には熱伝導の良い麻面を使うことで、爽やかに眠ることができるのだ。

「夏は要らないんでしょ」と思われるが、夏は冬の2~3倍の発汗がある。ちゃんと汗を吸うしくみは必要なのだ。
ゼイタクを言えば、麻面を上に使った上で、さらに麻のシーツ、もしくは麻の敷パッドを使うと、さらに効果的だ。汗の発散が早くなると、気化熱を奪うので余計に快適となる。

マットレスの上にはウールのベッドパッドを。汗をダイレクトにマットレスに吸わせないようにすることも、マットレスの耐久性を上げる意味では重要なのである。